事業統括・プログラムディレクター
向井大策(むかい・だいさく)
1977年生まれ。沖縄県立芸術大学音楽学部准教授。専門は音楽学、近現代音楽史、オペラ研究。ベンジャミン・ブリテンをはじめとする20世紀欧米の作曲家による音楽作品や劇作品を文化史的な観点から研究してきた。また、沖縄に拠点を移してからは、地域社会における音楽や芸能に関する実践的なプロジェクトを通じて、公共音楽学の可能性を探求している。2019年~2021年度文化庁大学における文化芸術推進事業「今を生きる人々と育む地域芸能の未来―「保存」から「持続可能性」への転換を志向する場の形成と人材育成」(「地域芸能と歩む」)において事業統括・プログラムディレクターを務める。曲目解説など、寄稿多数。
私が ”編み直したい” こと
新しいプロジェクトが始まる。ロゴマークに記された「表現と知を編み直す」という言葉は、このプロジェクトのコンセプトを表すものだ。表現も知も、「私」の中で自己完結するものではない。何かを知り、何かを表現しようとした瞬間に、その人と「世界」の間には関わりが生まれる。そして、関わるということには、つねに責任=応答可能性(responsibility)が伴う。編まれたものを、もう一度編み直すとは、こうした表現と知への倫理的な問いかけから生じてくる営みである。表現や研究にたずさわる私たちは、それをどう実践することができるだろうか。このプロジェクトを通じて、私たちは多くの表現と知の実践者の皆さんと、そのことについて語り合いと願っている。